まずは在庫仕分けから始める～在庫最適化への具体的な手順～

まずは在庫仕分けから始める

在庫分析ツールを効率的に導入するためには、まず「在庫仕分け」という重要なプロセスから始めることが不可欠です。コンサルタントの現場から見た具体的な手順を、実際のシステム導入の流れに即して説明していきます。

在庫仕分けの第一歩

在庫管理の第一歩は、管理対象となる商品を明確にすることです。全ての商品が在庫を必要とするわけではありません。「在庫を持たざるを得ない製品・商品」を明確に定義し、在庫を持つべき商品かどうかを検討します。例えば、出荷の少ない商品や、受注生産に切り替えることで在庫を減らせる場合には、在庫を持たない選択肢が考えられます。

在庫仕分けの基準

在庫仕分けの基本的な基準は「出荷の少ない商品は在庫しない」ということです。具体的には、1ヶ月あたりの平均出荷量や出荷回数を基準にし、出荷が少ない商品は在庫を持たないことを検討します。例えば、「半年で全く出荷の無いもの、もしくは1年で5以下の出荷しかないもの」などは仕分け対象です。

定期的な見直しも重要で、半年に一度は基準に引っかかる商品をリストアップし、その商品の在庫を持ち続けるかどうかを再検討する仕組みが必要です。市場の動向や出荷頻度は変化するため、定期的にチェックし、在庫の最適化を継続することが求められます。

大手の小売業者でも、この「在庫仕分け」の基準をそもそも持てていなかったり、定期的・継続的にチェックできていないのが現状です。在庫に悩みを抱えている企業を調べると、共通するアイテムの在庫が非常に多くなっていたり、半年以上出荷の無い商品が全体の在庫の2割にも上ることも珍しくありません。

在庫仕分けの処分方法

在庫仕分けの結果、リストアップされた商品に対する処分方法は3つに分かれます：

1. そのまま在庫品として残す
   様子を見ながら、在庫品として維持する選択肢です。
2. 受注生産品として扱う
   在庫を持たずに注文を受けてから生産・仕入れを行う商品に切り替えます。これにより、在庫過剰を防ぎます。
3. 生産中止品とする
   現在の在庫を売り切った後、注文を受けない商品として扱います。

これらの処分方法は、段階を追って実施されます。初回のリストアップ時には在庫を保留し、2回目以降で受注生産品への移行を検討、3回目以降で生産中止を考慮するなど、段階的なアプローチが推奨されます。

商品の仕分けは数字化することが大事

商品を効果的に絞り込むためには、数字に基づいた明確な基準が欠かせません。感覚や曖昧な理由で商品の取り扱いを決定してしまうと、どの商品を残すべきか、どの商品を削除すべきかの判断が難しくなり、在庫がどんどん増えてしまう結果になります。

実際に、あるメーカーでは在庫商品のアイテム数に上限を設け、例えば新しい商品を追加する際には、既存の商品を1つ必ず外すというルールを設けています。このような厳格なルールがあることで、在庫アイテム数の無秩序な増加を防ぎ、在庫の最適化が進むのです。

さらに、定期的に「在庫仕分け」を実施することで、数字に基づいた評価をもとに商品を整理し続けることが可能になります。これにより、常に最新の需要や出荷状況に合わせて在庫を管理し、無駄を最小限に抑えることができるのです。このような明確かつ厳然としたルールを設けることで、効率的な在庫管理が実現し、事業運営全体のコスト削減にもつながります。

受注生産品の在庫過剰問題

受注生産品は通常、在庫を持たない商品です。しかし、実際には「受注生産品」の在庫が過剰になってしまうことがあります。この問題は、社内の受注情報や生産量が実需と合っていないことが原因です。受注情報が見込み段階で伝わってしまい、実際の注文量とズレが生じることで過剰在庫が発生します。

これを防ぐためには、受注生産品の取引条件（納期やロットサイズ）を明確にし、顧客や営業担当者に正確に伝えることが不可欠です。納期やロットの設定を市場の需要に合致させ、社内での調整を行うことで、過剰在庫の発生を抑えることができます。

在庫仕分けの重要性

最適な在庫管理を実現するためには、定期的に在庫仕分けを行い、商品の売り方や作り方を見直すことが不可欠です。在庫仕分けが適切に機能すれば、物流センターでの過剰在庫を減らし、効率的な在庫管理が可能になります。しかし、仕分けの結果を反映させず、従来の売り方や作り方を続けると、在庫の最適化は実現できません。

LTV-Zaikoで在庫量の適正管理を！

在庫管理の担当者の代わりを務めてくれるツール、それが「LTV-Zaiko」です。

LTV-Zaikoを使うことによって今ある在庫を販売開始日からの経過日数と消化率を計測し、独自に定めた７象限に自動的に振り分けます。

これにより商品の好調・不調を分かりやすく可視化することが可能で、自動計算された完売予測日をチェックすることで、欠品の早期発見・余剰在庫の削減に役立ちます。

SKU単位での商品登録設定もできるので、季節性の高い商品は早めの終売設定をしたり、定番商品は入荷ごとに閾値を設定し直したりできます。

まとめ

在庫管理を最適化するためには、まず「在庫仕分け」というプロセスが不可欠です。在庫を管理する前に、在庫を持つべき商品を明確に絞り込むことで、効率的な在庫管理が可能になります。出荷の少ない商品や、受注生産品として扱える商品を在庫から外すことで、在庫の無駄を減らし、運営コストを抑えることができます。

また、定期的な在庫仕分けによって、変動する市場や需要に対応し、商品ラインナップを見直すことが重要です。仕分け後の対策としては、在庫を保持するか、受注生産に切り替えるか、もしくは生産中止とする段階的な判断が求められます。

さらに、受注生産品であっても過剰在庫が発生する場合がありますが、この問題は社内の受注情報や生産体制を見直すことで解決できます。適切な在庫管理を実現するためには、システムの導入だけでなく、在庫の仕分け基準や処分方法を明確にし、社内外でのコミュニケーションを強化することが不可欠です。