ノウハウ

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余った在庫の責任はだれが負うべきか?

余った在庫の責任はだれが負うべきか?

実は誰も在庫を減らしたくはない

在庫の量の管理において、「在庫を持っていてもいいことは何もない」 「在庫は少なければ少ないほどよい」という基本方針は、経営の立場に立てば間違いなく正しいことです。 しかし在庫管理の現場においては、これに相反する事情が存在しています。

すなわち、在庫の調達に責任を持つ人にしてみれば 「欠品して怒られるよりは、 在庫をなるべくたくさん用意したほうが安心だ」という心理が働きます。 さらに、生産あるいは仕入部門には 「まとめて生産したほうが安い」 「まとめて仕入れた ほうが安い」といった事情があります。 営業・販売部門にしても在庫を減らしたいとは決して考えません。逆に「顧客の多様なニーズに応えるためには、あらゆる商品ができるだけ潤沢に用意されていることが望ましい」というのが心理です。

このように、誰も「在庫を減らしたい」ということに積極的な動機を持つ人はいないのです。 このため、在庫の量を管理することなく、それぞれの関係者の思惑や都合に任せておくならば、在庫はどんどん増えてしまうという一面があります。

各部門におけるKPI

上記したように在庫に関わる各部門にはそれぞれの思惑があります。その思想の根源は、会社から与えられているKPIを達成させるためです。そこで、大きく分けて「営業・販売」部門「生産・仕入」部門の2つとし、それぞれのKIPを見ていきます。

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営業・販売部門のKPI

月次予算を達成させる

社内で在庫に一番関心を持っているのは、 おそらく営業や店舗販売に関係する人たちです。

それは、在庫を切らして欠品を出すと顧客に怒られるからだけでなく、この部門のKPIである売上予算を達成させることが難しくなるためです。その関心は 「絶対に欠品を出したくない」という一点に絞られます。

ですから、在庫はできるだけ多く手元に置いておきたいという考えしかありません。

在庫私物化が常態化していた

昔から、在庫の手配は個々の営業担当やるのが当たり前でした。個々の営業はそれぞれ予算を持っていますので、どの在庫でどのぐらいの売り上げを作ろうか、と常に考えています。そうすると倉庫の中にある在庫について 「この在庫は自分の在庫だ」というように、特定の営業担当が占有してしまい、他の営業担当には使わせないという事態もよく起こっています。

また、店舗においても同じようなことが言えます。売れる在庫は力のある店舗や店長が早めに確保してしまい、たとえ他の店舗で欠品していたとしても自店舗の売り上げを減らしてまで在庫を回そうとする店長は少ないでしょう。

これは在庫の私物化ともいえますが、 営業・販売に関わる人たちは、それだけ在庫に神経を使っていたという表れでもあります。

欠品が在庫を余らせる!?

ところで皮肉なことに、欠品を恐れて営業・販売担当が在庫手配をすると、 逆に欠品が多発します。 それが実態です。 欠品が多発するということは、同時に不良在庫も多発するということです。 それは「管理不在」だからです。

営業・販売側で在庫の手配をすると、 売れそうな商品については在庫の奪い合いということが起こります。倉庫では営業の確保によって即出荷できなくなり、店舗では売れ行きによってあっちの店舗にはたくさんあるがこっちの店舗では欠品しているというように、偏りが生じます。

そうなると工場に至急の増産を依頼します。工場では、営業・販売部門の要請ですから、増産をします。在庫が偏在していると、このようなことが起こるのです。 倉庫やすべての店舗にある在庫を合計すれば、顧客の注文に十分応えられる在庫があるのに、誰も全社在庫を管理していないため、このような無駄な増産が起こってしまいます。 この時点で、この在庫は過剰在庫になります。

生産・仕入部門のKPI

生産計画と生産ロット

この部門は勝手に在庫を増やしたり仕入れたりはしません。まず、営業・販売部門が販売計画を立て、その計画に基づいて生産仕入を行います。ここまでだとこの部門には在庫責任は無いように思えます。しかし、そこで関わってくるのが「生産制約」です。

生産制約のメインは 「生産ロット」で、必要な補充量がほんのわずかであっても、それを大きく上回る数でしか仕入れできなかったり、生産ラインを動かせば一定数生産されてしまうという場合に、この分の在庫は持たなければなりません。

また、生産計画を立てるのが基本的に半期ごとや月次で、 半年前に計画に入れておかないと作れなくなるという場合、 今は充分な在庫があるように見えるけれど半年後のことはわからないので、 発注して計画に入れておく必要があるとすれば、 これも生産制約の一種です。

生産・仕入部門は販売計画を基に制約を考慮しながら仕入れ予算内の生産計画を立てます。その計画の実行自体がKPIとなります。

生産ロットは需要とは関係が無い

通常、生産ロットは生産設備の効率や輸送コストの削減を主眼として決められています。生産計画のサイクルも必要な材料等の調達の都合や、計画策定に必要な労力の軽減などを考慮して決められています。

つまり、まとめて作ったり大量に仕入れしたほうが効率的だと考えます。しかし、いずれも販売計画や市場の需要とは関係ないものを根拠として決まっています。

KPIのギャップが余剰在庫を生む

2つの部門のKIPが違うのはわかりました。問題は、関係者の都合や思惑を含んで行われる在庫管理は市場の実際の需要とギャップがあることです。このギャップが形をなして現れるものが「在庫」なのです。市場の需要が旺盛で、ギャップを飲み込んで伸びていってくれる場合にはムダな在庫は発生しないわけですが、市場が成熟化して売れ行きが止まった際には、確実にギャップすなわちムダな在庫が発生してしまうわけです。

ここで関係者各位の思惑を制し、「在庫を市場の需要に合わせて持とう」という 明確な共通の指針を打ち出して、ムダな在庫を発生させない仕組みを作ることが、「在庫の量を管理する」ということの本質であるといえます。

在庫管理担当者は誰が適任か

企業の経営者が、自社の在庫が多いことに気づき、「いったいどうなっているんだ」と責任追及を始めると、 部門間で責任転嫁の発言が相次ぎます。 以下のような発言がその典型例です。

・営業部門が立てた販売計画に基づいて作っているのだから、在庫の責任は当然、営業部門にある (生産部門)。

・販売計画をベースにしているなどといいながら、 生産効率を第一に、自分の都合を優先して作っているのだから、 そこで生まれた在庫は、当然生産部門が責任を負うべきだ (営業部門)。

要するに、責任の押しつけ合いをしているわけですから、在庫責任は宙に浮いています。

それでは、どうすればいいのでしょうか。 答えをいえば、 営業部門も生産部門も在庫責任を負うにはふさわしくないということです。 なぜなら、営業部門は、欠品を出したくないから在庫は多ければ多いほどよいという考えですし、生産部門は、生産効率を考えると、 できるだけまとめてたくさん作りたいという立場にあります。その是非はともかく、 部門の利害を考えると、必然的にそうなります。おそらく、これらの部門は、決してそれぞれの利害から脱却することはできないでしょうから、在庫に関して責任を負わせないほうがいいということになります。

そもそも在庫責任とは何か?

それでは、在庫責任は、誰が担うのがよいのでしょうか。

いうまでもなく、 在庫責任は、 部門利益ではなく、全社利益を考えられる部門に置くべきです。現実的にいえば、 既存部門ではなく、 「ロジスティクス部門」 のような新たな部門を設けて、そこに在庫責任者を置くというのが、最も効果の大きいやり方です。もちろん、管理部門や物流部門など既存の部門で責任を持つという方法も可能です。 その場合、在庫管理のやり方をシステム化し、できるだけ人の都合や思惑を介在させないような態勢をとることが必要です。人が介在するから、 在庫がややこしくなるのです。その意味では、在庫管理の担当者は「システム」いうのも選択肢といえます。

在庫管理の担当者の代わりを務めてくれるツール、それが「LTV-Zaiko」です。

LTV-Zaikoで余剰在庫の早期発見を!

LTV-Zaikoを使うことによって今ある在庫を販売開始日からの経過日数と消化率を計測し、独自に定めた7象限に自動的に振り分けます。

これにより商品の好調・不調を分かりやすく可視化することが可能で、余剰在庫も簡単に見つけることができるようになります。

SKU単位での商品登録設定もできるので、季節性の高い商品は早めの終売設定をしたり、定番商品は入荷ごとに閾値を設定し直したりできます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。会社内の2つの主要部門のKIPのズレと市場の需要とのギャップが余剰在庫を生み出だします。在庫責任の押し付け合いをするのではなく、それぞれの思想を理解し会社全体の利益を考えることが余った在庫の削減への第一歩です。

ご参考になれば幸いです。

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