ノウハウ

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SDGsとは ~持続可能な世の中とアパレル・ファッションの未来~

SDGsとは ~持続可能な世の中とアパレル・ファッションの未来~

今のご時世、SDGsという言葉を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか。

それくらい、当たり前に知られているSDGsですが、本来は『Transforming our world:the 2030 Agenda for Sustainable Development(我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ)』が正式名称ということを知っている方は多くないのではないでしょうか。

今回は、SDGsとアパレル業界の関係性、持続可能な社会にしていくにあたって解決していかなければならない業界の課題やどのように解決していけるかについてご紹介いたします。

興味を持っていただけましたら、ぜひ最後までご覧ください。

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SDGsとは

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで加盟国193ヵ国の全会一致で採択された、2016年から2030年までの30年間で持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。            

17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。

17の目標        

1.貧困をなくそう              10.人や国の不平等を無くそう

2.飢餓をゼロに               11.住み続けられるまちづくりを

3.すべての人に健康と福祉を         12.つくる責任 つかう責任

4.質の高い教育をみんなに          13.気候変動に具体的な対策を

5.ジェンダー平等を実現しよう        14.海の豊かさを守ろう

6.安全な水とトイレを世界中に        15.陸の豊かさも守ろう

7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに  16.平和と公正をすべての人に

8.働きがいも経済成長も           17.パートナーシップで目標を達成しよう

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

上記の17の目標の下に169のターゲット、232の指標が設定されています。

SDGsから見るアパレル業界

SDGsの達成にあたり、アパレル・ファッション業界は大きく2点の課題を抱えています。

1つ目の課題は、服を生産するにあたって、生産から廃棄まで環境に大きく負担がかかるといった点。

2つ目の課題は、労働者を劣悪な環境において低賃金で仕事をさせるなどといった労働問題です。

それでは、この2点の課題について詳しく解説していきます。

【環境への影響】   

ここからは、下記について解説していきます。

・服を作るにあたっての環境負荷について

・1人当たりの衣服消費・利用状況について

・ごみに出される衣服の総量や処理方法について

■原材料調達から製造段階までに排出される環境負荷の総量

・CO2排出量  約90,000kt

・水消費量    約83億㎥

・端材等排出量  約45,000t

となっており、ここにプラス化学物質による水質汚染なども加わってきます。

この数値を服1着あたりに換算すると

・CO2排出量  約25.5kg

こちらは500mlのペットボトル約255本製造分となります。

・水消費量    約2,300リットル

こちらは浴槽約11杯分となります。

端材等排出量に関しては、年間 約45,000tなので服に換算すると約1.8億着分となります。

このように、服を作るには膨大な量の水を使うことがわかります。

■1人当たり(年間平均)の衣服消費・利用状況

・購入枚数    約18枚

・手放す服    約12枚

・着用されない服 約25枚

手放す枚数よりも購入枚数の方が多く、1年間で1回も着られていない服が1人あたり25 着もあります。

要因として、ファッションの短サイクル化や低価格化がより多くの服を生み出すことによって、消費されることにつながっています。

服を手放す手段の分布として、可燃ごみ・不燃ごみとして廃棄が全体の68%と最多になっています。

■ごみに出される衣服の総量と処理方法

・総量(年間)  508,000t

→焼却・埋め立てが95%で484,000t

■1日あたりに焼却、埋め立てされる衣服の総量(平均)

・1日 1,300t

→大型トラック130台分

毎日廃棄される大量の衣服を処理するためにも、環境負荷が生じており、現状を変えてゆく必要があります。

出典:環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)

【労働・人権問題】

アパレル・ファッション業界の課題として、環境だけでなく労働・人権問題にも注目が集まっています。

先進国で販売されている衣類は発展途上国で生産されているものがほとんどです。

このように、先進国のアパレル企業は賃金の安い発展途上国の労働力に頼ることで成り立っていることがわかります。

■スウェットショップ

スウェットショップとは、劣悪な環境・条件で労働者を働かせ、貧困層を搾取する工場のことを言います。

多くは開発途上国で見られ、セクハラやパワハラ、強制労働、児童労働などが横行しているのが現状です。

また、女性の権利も守られていないのにも関わらず、貧困のため多くの女性が勤め先として選ばざるを得ません。

特に、アパレルに関連する縫製工場は室内での作業なので、天候に左右されず、安定した収入を得られるため人気です。

■ラナ・プラザの悲劇

上記で解説したスウェットショップを世の中に広く知らしめたのは2013年にバングラデシュで起きたラナ・プラザ崩壊事故です。

複数の縫製工場や商店などが入っていた、8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」が、ずさんな安全管理や違法増築が原因で崩壊した事故です。

少なくとも死者1,132人、負傷者2,500人以上を出す大惨事となりました。

事故が起きる前日には、ビルに亀裂が入っていることが見つかっており、地元警察はビルへの立ち入りを禁止していたうえ、従業員たちも、自身の安全のために休みたいと申し出ていたが、

納品日を守りたい工場側はこれを聞き入れずに、製造を進めるため労働を強制しました。痛ましいこの崩壊事故は、人為的な要因が積み重なって発生したものと言えます。

アパレル業界はどう対処していくべきか

環境面での対処

昨今では、「大量生産・大量消費・大量廃棄」の一方通行(リニア)型から、「適量生産・適量購入・循環利用」により、廃棄される衣服が少なくなる循環(サーキュラー)型への取り組みが始まってきています。

企業が取り組むこととしては下記のようなものがあります。


■環境配慮設計

・長寿命

・リサイクル

・環境配慮素材

■製造

・透明性

・トレーサビリティ

■適量供給

・需要予測

・受注生産

・国内生産

適量供給は日々の在庫管理・分析をすることによって可能になります。

弊社の提供している「LTV-Zaiko」は、企業のEC運用担当者が継続的に、より簡単に「余剰在庫の最小化」の工夫を行うことができ、値引き施策のみに頼らない「粗利最大化」を支援し、循環型の社会の実現に寄与できるツールです。

ファッションと環境へのアクション

私たちが個人として、企業として下記の5つのアクションに取り組んでいくことによって、アパレル・ファッションを取り巻く環境や未来は良くなっていくでしょう。


1.今持っている服を長く大切に着よう

2.リユース(再利用)でファッションを楽しもう

3.先のことを考えて買おう

4.作られ方をしっかり見よう

5.服を資源として再活用しよう

循環型モデルを実現するためには、衣服を製造・販売する企業と使用する生活者の双方のアクションが不可欠です。

出典:環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)

労働・人権面での対処

アパレル・ファッション業界は私たちの行動次第でより良くなっていくでしょう。

では、どういった行動をすべきかご紹介いたします。

■商品やブランドの背景を知ろう

購入する商品の情報を知ることが大切です。

その服がどこで生産されているのか、その生産国の情勢はどうなのか。

労働者はどんな環境で働いているか、そのブランドは労働者に対してどのような配慮をしているか知ることも重要です。

全てを知ることは難しいですが、知ろうとすることが大切です。

「買い物は投票」という言葉があるように、商品を買うことが企業の応援になります。

反対に、倫理的に問題のある企業の商品を買うことは、間接的に搾取を助長していることになってしまいます。

そういったことを防ぐためにも、労働者と公正な取引を行う企業を応援することが、消費者としてできることです。

■フェアトレード

フェアトレードとは、途上国で生産されたものを適正な価格で買うことです。

記事の中で解説した、ラナ・プラザ崩壊事故をきっかけに、アパレル業界においても「生産者にとって不利益ではない取引」というフェアトレードの考え方が注目されるようになりました。

フェアトレードによって

・農民や労働者の生活改善

・持続可能な農業

・公正な貿易関係の維持

といったところを実現できるようになります。

商品やブランドの背景を知り「サステナブルファッション」の洋服を選ぶことで、アパレル業界のフェアトレードの取り組みを応援できるというわけです。

まとめ      

  • SDGs達成にあたって、ファッション・アパレル業界は環境面と労働・人権面の2つの課題を抱えている
  • 服を生産するにあたって、生産から廃棄まで環境に大きく負担がかかるということを理解し、「大量生産・大量消費・大量廃棄」から「適量生産・適量購入・循環利用」へ
  • 「適量生産・適量購入・循環利用」を行っていくにあたり「LTV-Zaiko」などのツール を導入することで効率化が可能
  • 衣服を購入する際、商品やブランドの背景を調べることで、その裏で不利益を被っている労働者がいないか知ることができる
  • 労働者と公正な取引を行う企業の「サステナブルファッション」の洋服を選ぶことで、アパレル業界のフェアトレードの取り組みを応援できる

参考文献・資料:

ファッションと環境

サステナブルファッション(環境省)